民法改正による賃貸契約への影響

2019.01.08

120年ぶりの、民法改正ということで、賃貸借契約においても様々な部分で変更箇所が生じてきます。
まず始めに、今回の民法改正において、何が変わり、賃貸借契約時において、どのような影響が生じてくるかについて、順を追ってお話しさせて頂きたく思います。

今回の民法改正の大きな変更点

今回の民法改正の大きな変更点は、【判例】ベースのものを、より明文化し【条文】ベースにするという考え方です。これは過去の判例に基づくものから、より明文化された「第○条○項から」という様に民法解釈をしていくということです。

その為、一般的には法が細分化され、枝番がつく形となる為、民法自体に抵抗を持つ方もいるかもしれません。
ただ、実際は明文化されることで契約内容が、より明確になり、当事者間での契約締結・その後のトラブル回避にも影響してくるのかもしれません。

賃貸借契約における影響箇所
連帯保証人の極度額設定

賃貸借契約において、中でも大きな変更点は連帯保証人の極度額を設定することです。
例えば、今までは入居者が契約書を交わす際に、連帯保証人は署名、捺印等を頂くのみでしたので、とりわけ違和感もなく連帯保証人になっていた方もいらっしゃるかもしれません。ただ新法では、連帯保証人の保証すべき上限額が記載される為、契約時により具体的な金額が明記されてきます。

例えば、100万円までの上限額を設定する場合、連帯保証人の方は100万円以上は支払わなくてもよいわけですので、有限責任になります。本来これはメリットではありますが、実際に具体的な金額を提示された場合、感覚的なものかとは思いますが、簡単に連帯保証人になることを躊躇する方が出てくる可能性も考えられます。そこで、連帯保証人の極度額を定めることで、最終的なリスク軽減ができるというメリットを、きちんと説明することが必要になってきます。

ただ、新法に馴染みのないうちは、この様な内容に対して抵抗を持ち、保証人になることを躊躇う方もいるかもしれません。
その際の対策として「保証会社」の使用があげられます。

保証会社の補償内容は「家賃延滞や未払いだけでなく、送金サービスや残置物処理等」を含む場合もある為、ニーズに見合う保証会社を使用することは、賃貸物件所有者様のメリットにもなるかと思います。

契約締結と新法・旧法適応か

契約締結に関しての新法と旧法適用の範囲ですが、基本は初回の契約ベースで契約書の内容が決まります。
その為、大切なのは、

1:初回の契約がいつなのか
2:民法改正前後で更新を挟んだ際の契約書の内容 が
重要になって参ります。

明文化されるか否かというよりは、個々の契約書がベースになってくる為、賃貸借契約においての賃貸人・賃借人当事者間のやり取りが大切になって参ります。 民法改正の前後での適用は下記のとおりとなります。

初回契約締結時は民法改正前だった場合
初回契約が「旧法」の為、変更がなければ新法後も、初回契約書がベースとなります。
民法改正後に初回契約を締結した場合
初回契約が「新法」の為、新法適用となります。
初回契約締結時は民法改正前だったが、改正後に更新時期が来た場合
初回契約がベースとなります。変更があれば「更新時」に変更内容にて契約書を締結します。

契約の締結時期と、それにより適用される法に関しては上記のようになります。
民法改正によって、賃貸借契約時のやり取りや、内容はそこまで大きく変わるのではなく明文化されることで、より、当事者間での契約をベースにした内容が、大切となって参ります。
また、その他、敷金償却や原状回復についても、内容自体に大きな変更があるわけではなく、基本ルールが民法内に明文化される点が、旧法と新法の違いとなります。

まとめ

今回の民法改正で賃貸借契約において大きく影響するのは、

以上が、今後賃貸借契約で大まかに影響のある点になるかと思います。
民法改正と聞くと、難しく考えすぎてしまうこともあるかと思いますが、大まかな法改正の流れをシンプルに理解することで、今後の賃貸借契約もスムーズに行っていただけるかと思います。

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